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『鷹の井戸』(梅若玄祥、森山開次、ヤンヤン・タン) [舞台(コンテンポラリーダンス)]

 能楽師の梅若玄祥(梅若六郎)、コンテンポラリーダンスの森山開次、バレエダンサーのヤンヤン・タン(譚元元)が共演するというので話題になった新作能『至高の華 新作能楽舞踊劇「鷹の井戸」』の公演を観るために、夫婦で国立能楽堂へ行ってきました。

 能とバレエのコラボレーションと言えば、マイヤ・プリセツカヤが梅若六郎、藤間勘十郎と共演した『能・バレエ・舞「ボレロ・幻想桜」』を思い出しますが、今回は“コンテンポラリーダンス界のへんないきもの”森山開次、サンフランシスコバレエ団のプリンシパルであるヤンヤン・タンという、ばりばりの現役ダンサーたちとの共演です。当然、両者とも派手に踊ります。

 イエーツ原作『鷹の井戸』を元にしており、飲んだ者に永遠の命を与えるという井戸をめぐって、その守護者たる鷹姫と、老人・若者それぞれの欲望と対立を描いたストーリーとなっています。まあ、『火の鳥』(手塚治虫)ですね。

 まずヤンヤン・タンの鷹姫が非常に印象的でした。その細く長い手足を存分に活かした空気を切り裂くような鋭い動き、流れるような美しい舞で、ごく狭い空間で踊っているにも関わらず、大空を自由自在に飛翔して王子を翻弄する様を見せてくれました。動きはバレエの演目でいうと『火の鳥』です。『火の鳥』では王子が勝利しますが、今作では鷹姫の完勝に終わります。

 梅若玄祥はさすがの存在感で、ただ立っているだけで舞台の空気を支配してしまいます。苛立ち、失望、落胆、妄執といった感情を、手足のごくわずかな動きで表現してのける様は驚異的。能の凄みを感じさせてくれました。

 森山開次は今回ちょっと損な役回り。翁には威圧され、鷹姫には翻弄され、両者の引き立て役という感じでした。まあ能とバレエという、それぞれ確固たる伝統に支えられた表現様式と比べて、そういうものがないコンテンポラリーダンスというものの立ち位置を象徴しているようです。けっこうセリフもありますし、剣舞などダンスシーンも多いのですが、一番印象に残ったのは最後の最後に廊下(橋懸かり)をするすると滑るように退場してゆく後ろ姿。妙に“この世のものにあらず”感をかもしだしていました。

 激しく踊るバレエとコンテンポラリーダンスを、抑えに抑えた最小限の動きで受け止めてみせる能というスリリングな舞台。全体で70分ほどの公演ですが、私のように能を観たことがない観客でも充分に楽しめました。

[キャスト]

翁 :梅若玄祥
王子:森山開次
鷹姫:ヤンヤン・タン(譚元元)

原作:イエーツ
脚本:村上湛
演出:梅若六郎


タグ:森山開次
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