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『人はなぜだまされるのか 進化心理学が解き明かす「心」の不思議』(石川 幹人) [読書(サイエンス)]

 錯視、注意力、記憶、感情、想像力、信念。私たちの心の働きには、ときに深刻な問題を引き起こす偏り、歪みがある。それは私たちの脳が進化の過程で獲得した特性であると仮定することで、様々な疑問を解き明かすことが出来るのだ。

 人間の錯覚や認知バイアスについて、進化心理学の観点から読み解いてゆく一冊。ブルーバックス新書(講談社)出版は2011年7月です。

 人間の知覚や判断は、自分で思っているほど正確ではありません。少し条件を工夫することで、驚くほど顕著なエラーを起こします。本書はそういった様々な知覚や認識の「誤り」を取り上げ、そのようなエラーがなぜ起こるのかについて考えてゆく本です。

 平面図形を立体として解釈する際の無意識の仮定(照明の光源は上にある)、重なって見えない部分を自動的に補って知覚する、一緒に運動する多数の物体をグループ化する、など視覚の特性を利用した奇妙な錯視現象。

 一定速度を下回るゆっくりした変化に対する驚くほどの鈍感さ、注意を集中させているときにはその他のものが何も知覚できなくなる、視線や指さしに対する過敏さ、事実でないことを確信を持って記憶する、後から与えられた情報により記憶を変質させる。

 事実や知識と無関係に引き起こされる感情、想像したことや噂を過度に信じてしまう、迷信やジンクスに触れ回される心理、将来予測の評価が極めて不正確であること。

 文章は平易で、様々な興味深いトピックが含まれており、特に認知心理学や進化心理学の知識がなくても、あるいは興味すらなくても、楽しく読み進められます。

 通読すれば、こういった人間の知覚の「欠陥」は、欠陥というよりむしろ現在の私たちが置かれている状況とは全く異なる環境のもとで脳が進化してきた証拠だという考えに、充分な説得力を感じるようになります。

 というわけで、進化心理学の入門書としてお勧めします。本書で進化心理学の面白さを知った方は、さらに詳しい本に手を出すとよいでしょう。

 ただ、個人的には、石川 幹人さんと言えば、「日本では数少ない超心理学の研究者」であり、「超常現象の調査に取り組むASIOSのメンバー」であるわけで、もっとESPや超常現象の話題が出てくるかと期待していたので、そこはちょっと残念。というか期待する方が間違っていますけど。


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