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『イマジネーション・レコード』(矢内原美邦、ニブロール) [ダンス]

 2017年9月3日は、夫婦でKAAT神奈川芸術劇場に行って矢内原美邦さん率いるニブロールの新作公演を鑑賞しました。4名の役者と3名のダンサー、計7名が踊る70分の作品です。


[キャスト]

振付・演出: 矢内原美邦
映像: 高橋啓祐
音楽: SKANK/スカンク
衣装デザイン: 田中洋介
出演:浅沼圭、石垣文子、大熊聡美、中西良介、藤村昇太郎、皆戸麻衣、村岡哲至


 舞台上には円形のエリア。ここに映像が投影されると共に、出演者たちが踊ります。舞台上方にはそれぞれ畳サイズの半透明スクリーンが7枚、天井から吊られています。ここにも映像が投影されることに。他に、舞台左右にそれぞれ2枚ずつ、計4枚の半透明スクリーン、そして2脚の机が置かれており、そう、やはり映像が投影されます。

 映像と音楽とパフォーマンスの一体感は素晴らしく、映像を背景に踊っているというより、映像に囲まれ映像の中で踊っている、という感じです。最後には吊られていたスクリーンも着地して、7枚のスクリーンと床に投影された映像に包み込まれるようにして動き続けるのです。

 モダンダンスのような動きも使われていますが、中心となるのは「ポーズをつけながらの早口長セリフ、しばしば絶叫」という動きです。絶叫しながら倒れる、という動作が何度も繰り返され、緊迫感と切実感を高めてゆきます。

 同じセリフが複数の出演者間で持ち回りされるため、さらには衣装もさり気なく変更されてゆくため、登場人物らしき人々のアイデンティティは非常に希薄に感じられます。というより、誰が誰であるか、言及される過去や経験が誰のものであるのか、登場人物たちにも分かってない、という感じ。わざわざ自撮り棒を使って他人を撮影する、撮影された人は文句をつけながらもついついインスタ映えする決めポーズをとってしまう、という場面など、可笑しい滑稽なシーンのはずなのに、全然笑えないというか、寒々しさを感じます。

 失われるのはアイデンティティだけでなく、映像マジックにより過去・現在・未来、という区切りも失われてゆきます。セリフの意味も、状況も。ただ「逃げろーっ」とか「助けてっ」とか「うそつき!」とか、そういう叫び声が災害(特に津波)や流言・デマの流布という印象を強めてゆきます。

 70分というそれなりの長丁場ながら、最初から最後まで緊迫感が途切れないのは凄い。ずっと走り、叫び続けた出演者たちの体力にも感服させられます。終演後、全員汗だくで息を切らしていたのですが、あの状態で長いセリフを流暢に発声し絶叫しダッシュし足踏みしていたのかと思うと……。


タグ:矢内原美邦
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