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『問題だらけの女性たち』(ジャッキー・フレミング、松田青子:翻訳) [読書(小説・詩)]

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かつて世界には女性が存在していませんでした。
だから歴史の授業で
女性の偉人について習わないのです。
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 女性の脳は男性より小さい。女性が学問をすると胸が小さくなる。女性は家庭に閉じ込めておかなければならない。女性の功績は無視されなければならない。これらの事実により女性が男性より劣っていることは明白である。19世紀英国ヴィクトリア朝における女性観を辛辣な皮肉をこめて描き、実のところ今も大して変わらない女性蔑視を痛烈に笑い飛ばす絵本。単行本(河出書房新社)出版は2018年3月、Kindle版配信は2018年4月です。


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当時の女性は精神薄弱だったので、
教育を必要としませんでした。
女性の脳は小さいだけでなく、柔らかい、
スポンジのような軽い素材でできていました。
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女性は夜はよく目が見えなかったので、
外出は許されていませんでした。
また、どこに連れていくにも感情的すぎたので、
たいてい家の中でしくしく泣いていました。
時にはヒステリックに。
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女性だけが堕落することができました。
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女性による芸術は時として
うっかり評価されてしまうことがありましたが、
その間違いは歴史のゴミ箱に捨てることで
簡単に修正することができました。
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 19世紀、あまりにも理不尽な女性差別がまかり通っていた時代。歴史に名を残す偉人たち(もちろん男だけ)が残した言葉もこんな感じです。


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ジャン=ジャック・ルソーによると、
娘たちには人生の初期に
挫折させてやる必要があるそうです。
そうすれば、男性を喜ばせるという女性の自然な
役割がより自然にできるようになるからです。
ルソーは自分の子どもたちを孤児院にいれ、
挫折させてやりました。
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こちらはラスキンのお言葉です。
「女性の知能は発明や創造には向いていない。
男性を讃えるのが天職だ」
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ピカソによると、女性の存在価値は
苦しむことだそうです。針仕事や
拍手することよりは斬新なアイデアですかね。
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ヘンリー・モーズリーは医学を学ぶと
胸がしぼみかねないと女性に警告しました。
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エドワード・クラーク博士によると、
若い娘が熱心に学んで成功することは
どの分野でも可能であるが、その後の人生において
健康を損なうことになり、
産まれてくる子どもたちはしなびているだろう、
とのことです。
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 しかし、何といっても本書に最も数多く登場するのは、進化論を唱えたダーウィンでしょう。本人のみならず、その知人も大活躍です。


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ダーウィンによると、
著名な男性と著名な女性のリストを比べてみれば、
男性がすべてにおいて優れていることは
明白だそうです。
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ダーウィンのいとこをはじめとする天才たちは、
なぜ男性だけが天才なのだろうと
興味をかき立てられました。
理由がさっぱりわかりませんでした。
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ダーウィンによると、
女性を家の中に閉じ込めておけば
男性のように結果を残すことができないので、
女性が生物学的に男性より劣るのも必然、
だそうです。
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ダーウィンの協力者であるロマネスはこう言いました。
「我々が男性的な精神と呼ぶ、
逆境をものともしない強靱な持続力や信念を
持った女性はほとんどいない」
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ダーウィンの友人であり
同僚のジョージ・ロマネスによると、
女性は脳の大きさが5オンス分小さく、
知的に劣る存在ではあるが、
カーテンやクッションをつくること、
がっかりすることにかけては秀でているそうです。
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 著者はダーウィンが特に嫌いだという気持ちがよく伝わってきます。

 というわけで、今日の感覚ではにわかには信じがたいのですが、本当に19世紀にはこういう女性差別が常識だったのです。21世紀の今、そういう偏見は払拭され男女平等が達成されたかと言うと、あー、正直、本質的なところはあんまり変わってないかも知れません。笑うより前に、ページに込められている憤りや怒りに強く共感することになるでしょう。この絵本を読んで屈託なく笑える時代が、早くやって来ますように。



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