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『青い花』(勅使川原三郎、佐東利穂子) [ダンス]

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ぼくの至高の感覚がまだ眠っていたとき、
 歌の力は天使となって舞いおりて、
 目覚めたぼくを胸に抱き、かなたへと飛翔した。
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『青い花』(ノヴァーリス、青山隆夫:翻訳)より


 2018年5月25日は、夫婦でKARAS APPARATUSに行って勅使川原三郎さんと佐東利穂子さんの公演を鑑賞しました。先月の特別公演をアップデイトした『青い花』、上演時間60分の舞台です。


[キャスト他]

演出・照明: 勅使川原三郎
出演: 勅使川原三郎、佐東利穂子


 ドイツ・ロマン主義の作家・詩人であるノヴァーリスの小説『青い花』にもとづくダンス作品です。「青い花」を佐東利穂子さんが、その青い花を追い求める「青年」を勅使川原三郎さんが、それぞれ踊ります。

 時計のコチコチいう音や、激しい突風の音が流れるなか、眠れる青年が夢をみているシーンから始まります。


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壁の時計がものうげに時をきざみ、がたがたなる窓の外で、風がうなり声をあげていた。月の光が射して部屋が明るくなったかとみると、また暗くなった。青年は眠られぬまま寝台の上を輾転として、あの旅の人のこと、その口から語られたあれこれを思いだしていた。
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『青い花』(ノヴァーリス、青山隆夫:翻訳)より


 青年は夢うつつに旅人から聞いた話を思い出し、「青い花」を見つけ、恋い焦がれることに。潮騒、嵐、雷鳴など多様な自然音、バッハやモーツァルトの調べ、そしてもちろん劇的な照明効果に圧倒されます。

 美しいもの、詩的なもの、それらを全部まとめて象徴するような、佐東利穂子さんの夢幻の動き、憧れや焦りなど感情を豊かに表現する勅使川原三郎さんの動き。


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葉が輝きをまして、ぐんぐん伸びる茎にぴたりとまつわりつくと、花は青年に向かって首をかしげた。その花弁が青いゆったりとしたえりを広げると、中にほっそりとした顔がほのかにゆらいで見えた。この奇異な変身のさまにつれて、青年のここちよい驚きはいやが上にも高まっていった。
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『青い花』(ノヴァーリス、青山隆夫:翻訳)より


 特別公演のときと比べるとかなりエモーショナルな振付になっていて、最初は自然の精霊のように超然とした存在に見えた佐東利穂子さんのなかに、次第に人間くさい意識や感情が生じて、それが育ってゆく、そんな印象を受けます。最後の方では互いに惹かれあいながら触れることのできない苦悩の表現が観客の胸にせまってきます。情熱的で、若さほとばしるドラマチックな作品だと思います。



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