So-net無料ブログ作成
メッセージを送る

『スーパーバレエレッスン ロイヤル・バレエの精華 吉田都(10)』 [映像(バレエ)]

 英国ロイヤルバレエ団の元プリンシパル、吉田都さんが講師をつとめる新しい『NHK教育 スーパーバレエレッスン』、その第10回のテーマは「“ロメオとジュリエット”第1幕よりジュリエットの部屋」でした。

 今回から生徒役は伊藤友季子さんになります。ジュリエットの初登場シーン(ジュリエットが乳母と遊んでいるところに両親がやって来て婚約者を紹介する)なので、他にも五名が参加。レッスンというよりむしろリハーサル、指導というよりダメ出し、という雰囲気で進められました。

 さすがにここではステップに対する細かい指摘はなく、表情、しぐさ、動きのタイミングなど、ひたすら演技面の指導が入ります。このシーンにおけるポイントは、ジュリエットの幼さ、無邪気さを表現すること。それによって後の展開との対比を鮮やかにするためです。

 吉田都さんによると、幼さの表現を学ぶために子供を観察したりしたそうで、実際、吉田さんがちょっとやって見せると、しぐさがいきなり自然に可愛い子供の感じになるのが驚きです。

 今回も模範演技はありませんでした。その代わりというか、ビデオインタビューでピーター・ライト卿がケネス・マクミラン作品について語ってくれます。

 そう言えば、来年の6月に英国ロイヤルバレエ団が来日して、マクミランの『ロミオとジュリエット』と『マイヤリンク(うたかたの恋)』全幕をやる予定だそうで、これは楽しみ。

 さて、次回からは、いよいよ「バルコニーの場」のパ・ド・ドゥのレッスン。楽しみである反面、最終回が近づいているのがひしひしと感じられて、ちょっと寂しい気持ちにもなります。


[番組情報]

放映時間: 2009年10月30日(金) 12:00~12:25
放映チャネル: NHKデジタル教育
出演:
 吉田都(講師)、伊藤友季子(生徒:ジュリエット)、諸星静子(乳母)、豊川美恵子(母)、本多実男(父)、高鴿(婚約者)、江藤勝己(ピアノ)、ピーター・ライト(インタビュー)


タグ:吉田都
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:演劇

『自分を憐れむ歌 -テースト・オブ・苦虫(7)』(町田康) [読書(随筆)]

 シリーズ“町田康を読む!”第32回。

 町田康の小説と随筆を出版順に読んでゆくシリーズ。ひどく不快そうな、苦り切った表情のことを「苦虫をかみつぶしたような顔」と表現しますが、その苦虫とやらの味(テースト)、すなわち人生の辛苦をぼやく人気エッセイシリーズ第7巻。単行本出版は2009年10月です。

 相変わらずのふざけた内容ですが、今巻はかなり面白くなっています。時事問題、特に「格差社会」をネタにいちびるエッセイが何本も収録されていたり、耐震偽装やらホリエモンやら、書かれた頃(2006年から2007年)のホットな話題が目白押し。

 今さら言うまでもなく書いてあることは嘘八百で、「僕ときたら、ありもしない嘘の話を書いて、随筆でござい、みたいなことを言って世間を欺いているのであって、自分でこんなことを言うのもなんだが、つくづく最低の豚野郎だと思う。腐敗堕落しきったバカモノであると思う。」(単行本p.29)などとまたそれをネタにしたり。

 嘘偽りない心を歌おうというきれいごとの話だったのが「まったくどいつもこいつも死にやがれ、クソどもが。みんな滅亡しろ、オレも滅亡しろ。楽して儲けたい。なぜ、ウグイスパンにはウグイスの肉が入っていないのか。」(単行本p.53)と嘘偽りない気持ちをわめき出したり。

 物忘れがひどくなった、実は植物の名前をほとんど知らない、など他愛もない身辺雑記ネタ、「北海道ラーメンや博多ラーメンにならって中国ラーメンというのを開発して売り出せば大ヒットするのではないか」とか「大手ゼネコンが丸髷をしていると問題になっているらしいが、そんな珍妙な格好で真面目な工事など出来るのか」とか脱力もののネタでも、この作者が書けば何でもそれなりに面白く読めるのだから困ってしまいます。

 個人的に気に入った一本は、家の照明や敷石がハンマーで壊されたので警察を呼んだところ、やってきた警官が「猿の仕業ですよ」と言い張って何もしてくれなかった、さすがポジティブシンキングは素晴らしい、犯罪だと思えば心が暗くなるが、ここらではハンマーを持った猿がうきーとか言って遊んでいるだけだと思えばそれはもう心安らかに楽しく愉快に、なるかぁボケッ、というようなことを書いた「猿にハンマーを与えたい」でした。


タグ:町田康
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

『不可思議現象の科学』(久我羅内) [読書(オカルト)]

 【奇天烈科学・飛んでる博士列伝】という、科学とオカルトとSFの間にあるラグランジュポイントのような領域に属する変なニュースを伝えてくれるメーリングリストがありまして、配信頻度は低いのですが、私は楽しみにしています。内容はこんな感じ。

「ついにタイムマシン完成?」
「幽体離脱を人工的に起こす?」
「いやな記憶だけ消せる薬?」
「天気恐怖症の人々」
「太陽が3つある星の日没」
「天王星の神秘の力を解明せよ!」
「ヒトは1000歳まで生きられる!」
「X線少女の謎を解け!」

 何となく雰囲気はお分かりのことと思います。この無料メーリングリストを主催しているのが久我羅内さん。ビリーバーでもなく、かと言って否定論者でも、懐疑主義者というわけでもなく、何となく微妙な距離感で面白がっているという、私なんかが割と親近感を覚える立場の方のようです。

 というわけで、サイエンス・アイ新書から出た久我羅内さんの新刊を読んでみました。「心霊現象、UFO、超能力、生まれ変わりなど、その真実を科学の力で明らかにする!!」と大仰な副題が付いていますが、そんなご大層なものではありません。

 全体は、心霊現象、UFO、超能力、虫の知らせ、生まれ変わり、臨死体験という全6章に分かれており、それぞれそのような現象の説明となり得る仮説をいくつか簡単に紹介するというものです。

 例えば心霊現象なら、「視覚原因説」、「生理学的原因説」、「低周波音仮説」、「脳機能仮説(ゴッドスポット仮説)」、「物理的原因説」などと大きく分けて、さらに例えば視覚原因説については「プルキンエ現象」、「網膜脈管視現象」、「輪郭誘導現象」といった具合に、さまざまな説明を雑多に並べています。

 「科学の力で明らかにする!!」というような気負いはなく、どちらかと言えば超常現象をネタにした雑談や科学コラムをよせ集めましたという感じが強く、読みやすいけれども、まとまりはよくありません。

 内容も薄いというか、すでに類書を読んで知っていたことばかりで、目新しい知識は得られませんでした。もっと詳しく知りたい方には、『謎解き 超常現象』(ASIOS)あたりをお勧めします。

 ただし、軽く読める本なので、これまで「あれだけ多くの目撃者(体験者)が全て嘘をついているなんてことはあり得ない」という素朴な理由で信じていた人が初めて手にとる謎解き本としては向いているかも知れません。

 というわけで、良くも悪くもメーリングリストに流れる記事と同じテイストの一冊でした。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

『メデューサとの出会い -ザ・ベスト・オブ・アーサー・C・クラーク(3)』 [読書(SF)]

 アーサー・C・クラークの日本オリジナル短編集、全3巻のうちの第3巻です。1960年代から1970年代はじめに書かれた短編14篇と科学エッセイ4篇、計18篇が収録されています。

 いよいよ最終巻です。ここまでくると収録作は傑作揃いで、どれを読んでもハズレなし。中でも『メイルシュトレームII』と『太陽からの風』は素晴らしく、何度読んでもその度に興奮し、感動します。ハードSFというと「小難しい理屈をこねた話」だとか「アイデア中心の無味乾燥な小説」だというイメージをお持ちの方には是非とも読んで頂きたい、傑作中の傑作。

 さて、収録作はいくつかのカテゴリに分類することが出来そうです。

 まず地球外における驚異的な景観を“見てきたように”語る作品。タイタンから見た土星とそのリングを描く『土星は昇る』、タイトル通りの天文現象を火星から観測する『地球太陽面通過』、そしてソーラーセイル(太陽風帆船)による地球周回ヨットレースという魅惑的なテーマを扱った『太陽からの風』もここに入るでしょう。

 景観に加えて、未知の生物との遭遇という驚きが待っているのが、金星を舞台とする『未踏のエデン』、深海を舞台とする『きらめく生きもの』、木星を舞台とする『メデューサとの出会い』といった作品。特に『メデューサとの出会い』は次から次へと息をのむような光景が連続し、その想像力の飛翔たるや圧巻の一言です。

 主人公が孤立無援の危機的状況に陥り、そこから脱出生還できるかというサスペンスで読者を引っ張るのが、『イカルスの夏』、『彗星の核へ』、『メイルシュトレームII』、『無慈悲な空』といった作品。特に月面から投射する電磁加速マスドライバーを扱った『メイルシュトレームII』は、ハード SFの代表作としていつまでも語り継がれる名作だと思います。

 最後に、『憎悪』、『ドッグ・スター』、『秘密』、『神々の糧』といったアイデアストーリー。とは言え、『憎悪』と『ドッグ・スター』は見事な出来ばえで、前者のサスペンス、後者の感傷、ともに忘れがたいものがあります。

 エッセイもうまく選ばれており、さらにこれまでの巻に引き続き掲載されているクラーク年表も充実。年表の最後に「逝去」とか「埋葬」とあるのを見て、改めて衝撃を覚えたのが我ながら不思議。

 というわけで、クラークは去ってしまいましたが、それでも手元には、私を含む多くの人々の心を形作ってきた傑作、名作の数々が残されています。これからも多くの若者たちがこれらの作品を読み、そして人類の未来を切り開いてゆくでしょう。それを想うことで、クラークがいない宇宙に住んでいるという事実にも耐えられるのです。


[収録作]

『イカルスの夏』
『彗星の核へ』
『土星は昇る』
『未踏のエデン』
『憎悪』
『ドッグ・スター』
『メイルシュトレームII』
『きらめく生きもの』
『秘密』
『太陽からの風』
『神々の糧』
『無慈悲な空』
『地球太陽面通過』
『メデューサとの出会い』
『グレート・リーフ』
『五感以上』
『バック・トゥ・2001』
『信条』


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

『最後の粉挽き職人の物語』(イアン・R・マクラウド) [読書(ファンタジー・ミステリ・他)]

 「SFマガジン」2009年12月号には、秋のファンタジィ特集ということで中短編四篇が掲載されていました。

 冒頭を飾る中編が『最後の粉挽き職人の物語』(イアン・R・マクラウド)で、これは昔ながらの呪文や魔法が蒸気と機械にとって代わられつつある産業革命当時の英国を舞台とした叙情的な作品。

 昔からずっと風と呪文の力で風車を回してきた粉引き職人の男。エーテル蒸気機関で駆動する製粉工場で未来を切り開こうとする女。時代の大きな変化を背景に、幼なじみの二人の恋と反目、その運命を、詩情あふれる筆致でえがいた好篇です。

 お分かりの通り目新しい要素は何一つなく、あまりにもありふれた設定のもと信じがたいほど陳腐なメロドラマが展開するのですが、それが不思議不思議、読むにつれて物語に引き込まれてゆき、見事なラストでは感動を抑えられませんでした。

 SF短編集『夏の涯ての島』を読んだときは、確かに上手いけどあまりにもオーソドックス過ぎて物足りないと思ったものですが、ノスタルジックなファンタジィだとそういう不満がなく、マクラウドの叙情作家としてのうまさが存分に堪能できます。

 次の作品は『アボラ山の歌』(シオドラ・ゴス)。竜と結婚するために試練にいどむ娘という古めかしいおとぎ話と、現代に生きる女性の人生が交差する物語で、サミュエル・テイラー・コールリッジの詩がキーとなります。魔法としての詩歌、というテーマですが、個人的にはあまり面白いとは思いませんでした。世界幻想文学大賞受賞作ですが。

 お次は『図書館と七人の司書』(エレン・クレイギス)。忘れられた図書館に引きこもって生活する司書たちと、そこに捨てられた赤子の話。やがて赤子は利発な少女となりますが、図書館から一歩も外に出ることなく、ひたすら本を読むことで成長してゆきます。

 特に劇的な展開があるわけでもないのですが、何というか、朝から晩まで時間を忘れて図書館でひたすら本を読み続けた幼い頃のことを思い出して、うらやましいような懐かしいような、心地よい感慨にふけることの出来る作品です。

 最後は『王国への旅』(M・リッカート)。ダークファンタジィとして始まった物語がロマンスに、そしてホラーへと向かってゆく構成が見事で、作中作が現実に影響してくる仕掛けと相まって、読めそうで読めないラストまで飽きさせません。個人的にはあまり好きなタイプの作品ではないのですが、その迫力には脱帽です。世界幻想文学大賞受賞作。

 というわけで、いずれも読みごたえのある作品ばかりでした。あまりファンタジィは好きではないのですが、これを機会にまたちょっと読んでみようかという気になりました。


タグ:SFマガジン
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ: