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『季節のない街』(Co.山田うん) [ダンス]

 2017年03月26日は、夫婦で世田谷パブリックシアターに行って、Co.山田うん公演を鑑賞しました。2012年に世田谷パブリックシアターで初演された作品の再演です。出演者は20名(山田うんさんを含むカンパニーメンバー18名+マレーシアのダンサー2名が客演)、上演時間は70分です。

 『季節のない街』(山本周五郎)が原作ですが、残念ながら未読。映画『どですかでん』(黒澤明監督)も、さらには2012年の初演も観ておらず、恥ずかしながら予備知識ゼロで観ました。


[キャスト他]

振付・演出: 山田うん

出演: 荒悠平、飯森沙百合、伊藤知奈美、川合ロン、河内優太郎、木原浩太、小山まさし、酒井直之、城俊彦、西田祥子、西山友貴、長谷川暢、広末知沙、三田瑶子、山口将太朗、山崎眞結、山下彩子、山田うん、
Fauzi Amirudin、Jabar Laura


 ベートーヴェンの第九が流れるなか、舞台上で首倒立している出演者たち。薄暗いので何だか異様な生物がコロニーを作っているようでちょっと不気味です。少しずつ孵化してゆくのですが、これまたエイリアンの幼生体がうごめいているようで怖い。やがて怒濤の群舞になだれ込み、歓喜の歌を背景にどどーっとはじけてゆきます。冒頭から度肝を抜かれるようなウェイブの連打、圧巻です。

 唐突に群舞は中断され、舞台は貧民街となります。いい加減にトタン板を打ちつけた建物(キャスター付きで移動可。ときどき賑やかに動かされ、それは山車にも、移動式舞台にも、電車にも見えてきます)。派手で安っぽい服が何枚もかけられていたり。たぶん捨てられていたのを拾ってきたんだろうなあという生活用品が並び、水道や電気などインフラは整備されていません。

 このよどんだ空気ただようスラム街を背景に、出演者たちがてんでばらばらに動きます。脈絡なく綺麗なダンスを踊ったり、いさかいを起こしたり、飲んだくれたり、暴力ふるったり、鍋など叩いて音を鳴らしたり。

 ときどき、唐突に祝祭的な群舞が勃発して、二列に並んだ出演者たちが建物からどどどどと走り出てきたりしてカッコいいのですが、全体的には閉塞感が強く、息苦しさを覚えます。美しいバレエの動きでも、爆発的な群舞でも、それが終わればまたスラムのよどんだ空気に戻ってしまう。

 個人的に印象的だったのは川合ロンさんの動き。何か不穏なことを口にしようとする女性に走り寄っては口をふさいだり、山田うんさんと取っ組み合いの喧嘩をしたり、何だか目が離せません。

 観客の期待通り中断された群舞を再開してくれるラストは、まるで貧困やら暴力やらすべてをなぎ倒す鉄砲水のよう。冒頭の群舞とはまた異なる激しさ、勢いを感じさせてくれました。



タグ:山田うん
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『カーネーション NELKEN』(ピナ・バウシュ振付、ヴッパタール舞踊団) [ダンス]

 2017年3月19日は、夫婦で彩の国さいたま芸術劇場に行ってピナ・バウシュの代表作の一つ『カーネーション』を鑑賞しました。 ヴッパタール舞踊団のメンバー21名(+スタントマン4名、ドーベルマン犬と担当者数組)が出演する作品です。上演時間は110分。

 舞台上にびっしりと植えられたカーネーション。その淡いピンクの絨毯を拡げた、夢のように美しい場所で、優しげな顔をして、観客も巻き込みながら、陰惨な悪夢が次々と暴かれてゆく恐ろしい恐ろしい。

 東ドイツで秘密警察による苛烈な弾圧が行われていた時代に初演された作品で、社会的弱者に対する容赦ない迫害、互いに対する密告や暴力の強制、全体主義的な同調圧力など、目を背けたくなるようなシーンが続出します。

 すごいと思うのは、それを他人事として観ることを許さない仕掛け。

 様々な演出(美しいカーネーション畑、愛の歌、手話、優雅な身のこなし、優しい微笑み、片言の日本語、等)により、最初は暴力的なあるいは抑圧的なシーンも「滑稽」に見えて、観客は笑うわけです。子供時代の虐待や社会的しつけ(たとえ殴られていても幸福そうにふるまえと強要される等)も、最初はユーモラスに見えるわけです。出演者が片言の日本語を懸命に話す様も、おかしさをかもしだします。

 しかし、何度か繰り返される「パスポート拝見」のシーンを経て、これが移民や少数民族など社会的弱者に向けられた暴力と差別と人権侵害を表しているということが分かってきます。そうなると、さきほどまでの「滑稽」なシーンが自分の過去の体験につながることもあって、観客の笑い声は少なくなってゆきます。でもなくならない。

 「さっき、あなた、笑いましたよね。弱みのある人々、子供、片言でしか話せない外国人、そういった人々が踏みにじられ、互いに踏みつけあうことを強制されている光景を見て、あるいはかつて自分が受けたつらい仕打ちを見て、あなたは笑った」と糾弾されているような、後ろめたい気持ちに。

 しかしピナは容赦してくれません。優雅なラインダンスを踊りながら微笑んでいるダンサーの一人が悲鳴を上げて逃げようとする。そこを暴力的に押しとどめられ、殴られ、元のラインに引き戻される。すると何事もなかったようにまた微笑んで優雅なダンスを続ける。優しい音楽に合わせて。

 「あなたはこれが観たかったんでしょう! やれますよ、どうですか、何でもやれますよ! どうですか」と泣き叫びながら古典バレエの技を懸命に繰り返す(でも散々侮辱された末に無慈悲にパスポートを取り上げられる)シーンなど、不法移民(我が国では「外国人留学生」)に対する労働搾取といったひどい現実を思い起こして、背筋が凍ります。

 表面的には優雅なまま、陰惨さはどんどんエスカレートして、公開処刑、自殺、拷問、侮辱など様々な悪夢的光景が織り込まれます。それでもそれらを見ていちいち観客席から笑い声が起きるという恐ろしさ。おそらくそこまで含めてピナの計算だと思うのですが、この「最後まで笑う観客」の存在が実にこわい。この国の今の世相を連想させるところがこわい。

 ラスト近くになるとそうしたものに抗うもの、個人のそれぞれの人生と多様性、その尊厳を見せてくれるわけですが、どうだろう、それまでの暴力と痛みの表現が圧倒的なためか、どうにも心もとなく感じられました。


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『いつかモンゴリと眠る』(東京ELECTROCK STAIRS、KENTARO!!、高橋萌登) [ダンス]


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「全員帰るまでやってやる」(KENTARO!!)
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 2017年2月19日は夫婦で駒場アゴラ劇場に行ってKENTARO!!率いる東京ELECTROCK STAIRSの公演を鑑賞しました。KENTARO!!を含む三名で踊る70分の舞台です。

[キャスト他]

振付・音楽: KENTARO!!
出演: 横山彰乃、高橋萌登、KENTARO!!

 はじめて観た東京ELECTROCK STAIRSの公演は、2012年05月に駒場アゴラ劇場で観た『最後にあう、ブルー』でした。それから5年近くたって、ついに再びここで彼らのダンスを観ることが出来て感無量です。

 三名で踊る公演ですが、全員オーバーオールに前髪ぱっつん。揃えてきたのに驚きました。気合はいってるなあ。個人的には、高橋萌登さんのショートヘアが印象的でした。

 全員でがんがん踊ったり、誰かがソロでひゅぱひゅぱ踊ったり、二人で踊っている間に残り一名が所在なさげに座っていたりと、とにかく常に誰かが踊っている状態。まず体力的に大変だろうと、思わず同情してしまいます。

 個々人の断片的な動きが徐々につながって、次第にダンスめいてくる振付は素敵。随所で使われる言葉(発話)も効果的で、全力で踊るシーンは文句なしにカッコイイ。横山彰乃さんも高橋萌登さんもきっちり踊ってくれましたが、何といっても驚かされたのはKENTARO!!さんのダンス。

 何しろ動きが読めない。力が入ってないように見える身体が柔軟にふらふらと動くのですが、動きがいつも観客の予想をこまめに裏切るというか、目の前で踊っているのに全体像がつかめないというか、何だこれ状態。それでいて無性に気持ちいいという。ヒップホップとかストリートとかもうそんなの関係なく、これは狐狸妖怪の幻惑舞踊ではないか。

 それを横山彰乃さんの迫力あるパワフルなダンスと、高橋萌登さんの素早い切れ味のダンスが支えるという、絶妙なバランス感が巧み。5年前と比べると、各人のダンスも、作品としての構成も、段違いに良くなっているように感じました。これからの公演にも期待したい。



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『地獄に咲く花』(川村美紀子) [ダンス]

 2017年2月5日は、夫婦で横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホールに行って「横浜ダンスコレクション2017 ダンスクロス+アジアセレクション」を鑑賞しました。『地獄に咲く花』はこの日上演された作品のうちの一つで、川村美紀子さんが踊る20分ほどのソロダンス作品です。

 一枚一枚に般若心経が焼き付けられた(アイロンビーズで)細長い布、というかタペストリーが、舞台左右の天井から何枚も垂れ下がっている舞台。奥へゆくほど短くなっているため、遠近法によって彼方に向かって通路が延びている印象を与えます。周囲は闇に包まれ、床は黒一色。そこに、白い砂(素材はビーズらしい)で作られた道が一本、舞台奥へと続いています。

 そんな舞台中央手前、観客のすぐ目の前、こちらに背を向けて、すっくと立つ人影。「れんげのはーながひーらいた、ひーらいたとおーもったら、いーつのまーにか、つーぼんだ」というあの童謡がご本人の声で流れ、観客の肝を冷やします。

 非常にシンプルな舞台装置と演出なのに、まだ動いてもいないのに、思わず息をのむような迫力。いきなり地獄、煉獄か、とにかくそこら辺に放り出されてしまった感に包まれます。参考までに、本人のツイートに添付されていた写真へのリンクを貼っておきます(リンク切れの際は申し訳ありません)。

https://pbs.twimg.com/media/C39UaWVUcAATgxH.jpg

 そして殺気にも近い悲嘆、苦悩、絶望、怒り、声なき絶叫が全身からほとばしるようなダンスが始まり、ほどよく冷えた観客の度肝を一気に引き抜きます。苦しみ悶えながら、一歩、また一歩と、抗えない力に引き寄せられるように白い砂の道を舞台奥に向かって進んでゆく。そこに天井から白い砂が、ざざっーと、降ってきて、さらに身体を打ちのめす。消えたあとには、白い砂で描かれた蓮の花が……。

 吸った息が吐けないような緊迫感。あまりにも理不尽に酷い目にあわされたが故に地獄に落ちるしかないような、そんな印象と共に、その仕業に加担したことを糾弾されているような衝撃と緊張を覚えます。わずか20分の作品ですが、ずっと終わらないような恐ろしさを感じさせる、凄絶なソロでした。



タグ:川村美紀子
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『Coincidance in Between』(高橋萌登 × ユン・ボラム) [ダンス]

 2017年2月5日は、夫婦で横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホールに行って「横浜ダンスコレクション2017 ダンスクロス+アジアセレクション」を鑑賞しました。『Coincidance in Between』はこの日上演された作品のうちの一つで、日本の高橋萌登さんと韓国のユン・ボラムさん、二人の共同制作による30分ほどのデュオです。

 ユン・ボラムさんは「コンペティション・ソウルダンスコレクション」を受賞した振付家だそうで、手足が細くすらりと背が高いボーイッシュな外見。並ぶと高橋萌登さんが頭ひとつ分くらい小柄なのが目立ち、どうも小動物めいた印象。クマのキャラクターが描かれた赤いパジャマの下を履いているという姿も幼児っぽさを強調します。

 二人が一緒に舞台上にいると、どうもそりが合わなそう。何か交流しなきゃいけないと思いつつも、互いに要領がつかめないという感じ。座っている相手の背後から顔を両手でつかんで持ち上げ、肩を後ろからこづいてよろけさせる、自分を背負わした上であっち行けこっち行けと気まぐれに指図するなど、保育園でよく見かける幼児的薄悪意行動が繰り返されたりして、ああ、友だち作るやり方が分からない同士なんだな、と。

 互いの国の言葉で文章を読みあげる、といった交流の試みめいた場面もあるのですが、ちっとも相手に伝わってない、それ以前に自分が何言ってるのか理解してない感がひしひしで、どちらかというと諦観が漂います。激しいダンスシーンもありますが、それぞれにがんがん踊ってる印象が強い。ダンス自体は両名とも力強く、観ていて高揚します。

 というわけで、アジアセレクションではあるけどあんまりダンスクロスしない公演でした。



タグ:高橋萌登
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