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『地獄に咲く花』(川村美紀子) [ダンス]

 2017年2月5日は、夫婦で横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホールに行って「横浜ダンスコレクション2017 ダンスクロス+アジアセレクション」を鑑賞しました。『地獄に咲く花』はこの日上演された作品のうちの一つで、川村美紀子さんが踊る20分ほどのソロダンス作品です。

 一枚一枚に般若心経が焼き付けられた(アイロンビーズで)細長い布、というかタペストリーが、舞台左右の天井から何枚も垂れ下がっている舞台。奥へゆくほど短くなっているため、遠近法によって彼方に向かって通路が延びている印象を与えます。周囲は闇に包まれ、床は黒一色。そこに、白い砂(素材はビーズらしい)で作られた道が一本、舞台奥へと続いています。

 そんな舞台中央手前、観客のすぐ目の前、こちらに背を向けて、すっくと立つ人影。「れんげのはーながひーらいた、ひーらいたとおーもったら、いーつのまーにか、つーぼんだ」というあの童謡がご本人の声で流れ、観客の肝を冷やします。

 非常にシンプルな舞台装置と演出なのに、まだ動いてもいないのに、思わず息をのむような迫力。いきなり地獄、煉獄か、とにかくそこら辺に放り出されてしまった感に包まれます。参考までに、本人のツイートに添付されていた写真へのリンクを貼っておきます(リンク切れの際は申し訳ありません)。

https://pbs.twimg.com/media/C39UaWVUcAATgxH.jpg

 そして殺気にも近い悲嘆、苦悩、絶望、怒り、声なき絶叫が全身からほとばしるようなダンスが始まり、ほどよく冷えた観客の度肝を一気に引き抜きます。苦しみ悶えながら、一歩、また一歩と、抗えない力に引き寄せられるように白い砂の道を舞台奥に向かって進んでゆく。そこに天井から白い砂が、ざざっーと、降ってきて、さらに身体を打ちのめす。消えたあとには、白い砂で描かれた蓮の花が……。

 吸った息が吐けないような緊迫感。あまりにも理不尽に酷い目にあわされたが故に地獄に落ちるしかないような、そんな印象と共に、その仕業に加担したことを糾弾されているような衝撃と緊張を覚えます。わずか20分の作品ですが、ずっと終わらないような恐ろしさを感じさせる、凄絶なソロでした。



タグ:川村美紀子
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『Coincidance in Between』(高橋萌登 × ユン・ボラム) [ダンス]

 2017年2月5日は、夫婦で横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホールに行って「横浜ダンスコレクション2017 ダンスクロス+アジアセレクション」を鑑賞しました。『Coincidance in Between』はこの日上演された作品のうちの一つで、日本の高橋萌登さんと韓国のユン・ボラムさん、二人の共同制作による30分ほどのデュオです。

 ユン・ボラムさんは「コンペティション・ソウルダンスコレクション」を受賞した振付家だそうで、手足が細くすらりと背が高いボーイッシュな外見。並ぶと高橋萌登さんが頭ひとつ分くらい小柄なのが目立ち、どうも小動物めいた印象。クマのキャラクターが描かれた赤いパジャマの下を履いているという姿も幼児っぽさを強調します。

 二人が一緒に舞台上にいると、どうもそりが合わなそう。何か交流しなきゃいけないと思いつつも、互いに要領がつかめないという感じ。座っている相手の背後から顔を両手でつかんで持ち上げ、肩を後ろからこづいてよろけさせる、自分を背負わした上であっち行けこっち行けと気まぐれに指図するなど、保育園でよく見かける幼児的薄悪意行動が繰り返されたりして、ああ、友だち作るやり方が分からない同士なんだな、と。

 互いの国の言葉で文章を読みあげる、といった交流の試みめいた場面もあるのですが、ちっとも相手に伝わってない、それ以前に自分が何言ってるのか理解してない感がひしひしで、どちらかというと諦観が漂います。激しいダンスシーンもありますが、それぞれにがんがん踊ってる印象が強い。ダンス自体は両名とも力強く、観ていて高揚します。

 というわけで、アジアセレクションではあるけどあんまりダンスクロスしない公演でした。



タグ:高橋萌登
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『シェラザード』(勅使川原三郎、佐東利穂子) [ダンス]

 2017年1月7日は、夫婦でKARAS APPARATUSに行って勅使川原三郎さんと佐東利穂子さんによる「シェラザード」公演を鑑賞しました。

 実はKARAS APPARATUSに行ったのは初めてなのですが、こじんまりとした50席ほどの客席と、舞台との距離が、異様に近い。勅使川原さんと共に観客も舞台の上にいるような錯覚をおぼえるほど。息づかいまで聞こえる、そんな距離感にもう大興奮。すごい。今年はまめにKARAS APPARATUSに通う。

 『シェヘラザード』といえばバレエ・リュスのフォーキン振付作品が有名ですが、本作はリムスキー=コルサコフの曲のイメージを活かしたオリジナル振付演出となっています。

 全編に渡って曲に潮騒や波の音響がかぶさり、勅使川原三郎さんパートでは波のうねりを連想させる動きと相まって海・嵐・難破のイメージが広がり、一方で佐東利穂子さんパートでは背景に月のイメージが投影され、残像を残しながら宙を滑る手の動きが幻想的な雰囲気を作り出します。会場全体が「男が海で溺れ死ぬ刹那に見た女の幻」というような気配に満たされて。

 第1楽章と第3楽章を勅使川原三郎さん、第2楽章を佐東利穂子さんが踊り、第4楽章で二人が共演するという構成です。とにかく緩急の動きが超絶的で、最初から最後まで息をのんで見守りました。

 最終楽章、それまで触れることなく踊ってきた二人がついにコンタクト、と思うや、天と地にわかれて消えてゆく切ないラスト、けっこう涙が出そうになります。フォーキン版(妖艶な不義密通もの)より個人的にずっと好き。



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『白痴』(勅使川原三郎、佐東利穂子、鰐川枝里) [ダンス]

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なんと豊かな仕事をしているのだろうと私は驚きました。
私たちにしか実現できない作品、ここにしか存在しないダンスを作ることが、
私がやりたい仕事でありますが、本作は正にそれだという実感がありました。
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公演パンフレットより(文:勅使川原三郎)


 2016年12月18日は夫婦でシアターχに行って勅使川原三郎さんの新作公演を鑑賞しました。ドストエフスキーの長篇小説にもとづく1時間の舞台です。

 原作のストーリーを追うわけではなく、ムイシュキン公爵やナスターシャの人物像と、その運命をダンスで表現してゆきます。佐東利穂子さんの優雅ではかないダンス、勅使川原三郎さんのどこか心ここにあらずな浮遊感のある不思議なダンス、どちらも強い印象を残します。ただ「てんかん発作」のダンスは、うちの猫がてんかんの持病を持っていることもあって、個人的に辛いものがありましたが。

 舞台装置はなく、魔法のような照明効果だけで夢幻がそこに立ち現れてくる様は衝撃的。ちらちらと炎のようにゆらぐ照明効果のせいで人物の輪郭をうまく見定めることができず、まるでぼんやりと滲む幻のように見えるのです。

 1時間の公演ですが、勅使川原三郎さんはほとんど出ずっぱりという印象。ずっと踊っていて、ときどき佐東利穂子さんが現れてはしばらく踊って消える、するとまた勅使川原三郎さんが踊りだす。凄いダンスをたっぷり観ることが出来て観客としては嬉しい反面、ご本人の体力が心配になってくるほど。

 鰐川枝里さんのソロダンス公演を見逃してしまったもので、ここで彼女のダンスが観られるかと期待していたのですが、登場シーンはごくわずか。ネズミの格好で暗闇から暗闇へとちょろちょろ走るだけの役だったので、そこはちょっと残念です。



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『ノイズの海』(南村千里) [ダンス]


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きこえない人が、どのように世界を認識しているのか、きこえる側は考えて想像するしかない。同様にきこえない人も、音とは何か、音楽とは何かを考え、想像している。
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南村千里さんインタビューより(文:乗越たかお)


 2016年12月17日は、夫婦であうるすぽっとに行って南村千里の新作公演を鑑賞しました。六名の出演者とテクノロジーの協業により、聴覚と視覚の境界を、耳の聞こえない人とそうでない人の境界を、それぞれ破ってゆく80分の舞台です。


[キャスト他]

振付: 南村千里
出演: 紅日毬子、菊沢将憲、酒井郁、田上和佳奈、南雲麻衣、望月崇博


 「音(ノイズ)を聞く」という体験を、耳の聞こえない人に振動や視覚効果を使って疑似体験させる、と同時に、耳の聞こえる人にはその疑似体験を想像させる、そんな作品です。

 基本となるのは音の視覚化。例えば舞台背景に投影されている幾何学模様は、舞台上で発生する音や振動とシンクロしてゆがみ(リアルタイム処理かどうかはよく分かりませんでした)、ノイズに合わせてさざ波のようなグリッチが走ったりします。

 スピーカーから大音量で流れる心臓の鼓動音は、振動となって客席を駆け抜け、同時に舞台上に吊るされた赤い提灯(じゃなくてたぶん心臓)が同期してちらちら明るさを変えます。

 ときに出演者が手にする2メートルくらいの長い蛍光管は、動きと振動に反応する仕掛けになっているようで、床を突くと光ったり、ネオンサインのように光点が流れたり、スターウォーズごっこのように光の軌跡を残して動いたり。

 耳の聞こえない出演者と耳の聞こえる出演者の対話がはさみこまれ、後者が前者に「ドップラー効果の体験」を伝えようと苦心したり、逆に前者が後者に「明るい光は大音量ノイズと同じ」苦痛に感じられるということを伝えようと苦心するなど、両者の相互理解の試みを見せます。

 ダンスも「どんっ」と音を立てて床を踏む動作が多く、出演者の間で動き出しのタイミングをとると共に、観客に振動を感じ取らせて、耳の聞こえない人が「どのように舞台を観ているか/体験しているか」を想像させます。聴覚ノイズと視覚ノイズに包み込まれるような共通体験をさせるクライマックスには鳥肌が立ちました。

 ただ、身体の動きそのものからはあまりときめきが感じられず、そこは残念でした。共感覚的に音が聞こえてくるダンスだったら凄いだろうなーと思いました。



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