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『キュロテ 世界の偉大な15人の女性たち』(ペネロープ・バジュー、関澄かおる:翻訳) [読書(教養)]

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 哀しみも、愛する喜びも、立ち向かい続ける強さも、私たちはみんなこの胸に持っています。でもいろんなことに忙殺される日々の中でそのことを忘れてしまって、まるで自分がひとりぼっちみたいに思えてしまったりもします。そんな時こそ、この『キュロテ』を開いて、聞いてください。あなたは、私たちは、ひとりじゃないよ。わかるよね? 紀元前の彼方、地球の反対側、はるか遠くから投げかけられ続けている声を。
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単行本p.147


 権力と命がけで戦った女性、ショービジネス界で一世を風靡した女性、不朽の名作を残した女性。社会の偏見に屈することなく、自由や誇りや愛を貫いてみせた偉大な女性たち。男のための「世界の偉人伝」からは無視される彼女たちの鮮烈な生きざまを、美しい絵と文章でうたいあげるグラフィックノベル。単行本(DU BOOKS)出版は2017年11月です。


 まずは、瀧波ユカリさんによる『臨死!!江古田ちゃん』のアグレッシブな解説から。


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 女はこのように笑い、怒り、楽しみ、泣き、哀しみ、絶望し、そして前へ進んでいく。どう? 物珍しいでしょう? だってこれは全て、あなたたち男性が見ようとしないこと、無視し続けていることなのだもの。馬鹿な女の赤裸々ストーリーだと思って、消費してくださってもかまいませんよ。そんなあなたたちの姿勢すら、ネタにして差し上げますから。そんな喧嘩腰なスタイルで、私はそのデビュー作を男性誌で10年描きました。
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単行本p.146


 偏見に屈しない女、好きなように生きる女、逆境の中で戦い続ける女。「男性が見ようとしないこと、無視し続けていること」、そんな女性の生きざまを描いたグラフィックノベルです。取り上げられている偉人は、次の15名。


・ヒゲで一世を風靡したバーの女主人 クレモンティーヌ・ドゥレ
・最強&最凶!列強の侵略から小さな祖国を守り抜いたアフリカの女王 ンジンガ
・“西の悪い魔女”を演じた、心優しきホラー女優 マーガレット・ハミルトン
・国の平和に身を捧げた美しき3姉妹 コードネーム: ラス・マリポサス(ミラバル姉妹)
・言葉通りの“永遠の愛”を貫いた女性 ヨゼフィーナ・ファン・ホーカム
・勇猛果敢なアパッチ族の女戦士 ローゼン
・“水中のヴィーナス”と呼ばれた、水着の開発者 アネット・ケラーマン
・アフリカ大陸を横断した初の女性冒険家 デリア・エイクリー
・人種差別と戦い、孤児救済に尽力した黒人ダンサー ジョセフィン・ベイカー
・大人気キャラクター「ムーミン」の生みの親 トーベ・ヤンソン
・古代ギリシャ初の女性医師 ハグノーディケー
・DV夫に別れを告げ、祖国を救った平和運動家 リーマ・ボウイー
・アメリカ最古の灯台を守った老女 ジョージナ・リード
・性別適合手術を世に知らしめた“女性" クリスティーン・ジョーゲンセン
・中国史上唯一の女帝 武則天(則天武后)


 絵と文章で描かれた伝記。最後に見開きでカラー絵がついているのですが、これが素晴らしい出来映え。個人的には、絵だけでなく、文章の力にも注目してほしい。ときにストレートに、ときに辛辣な皮肉をこめて、女性の功績をしばしば無視する社会に対して異議申し立てしてゆく。それは女性の読者を、男性の読者だって、勇気づけ、命を救う言葉なのだと思います。


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どうせ珍品扱いなんだから、と
人前では気さくで陽気な有名人を演じつつ
自らの尊厳を守り、女性としての人生を
淡々と歩んだクリスティーン

(ほら、笑って★)

好奇の目にさらされながらも
常に凛としていた

彼女は、ほかのみんなも
自分らしく生きられるように
あらゆる困難を乗り越え
自ら広告塔となったのだ

「世の中を変えたとまでは
言わないけど、時代のお尻を
けっ飛ばすくらいはしたわ」
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単行本p.133


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トーベはムーミンのすべてを
弟のラルスに託した
(以後、物語は彼が執筆した)

そして、残りの人生は
好きなように作品を描いて
タバコを吸って、旅をして
トゥーリッキとの時間に費やした

まるでムーミン一家がクレープを焼いて
ピクニックに出かけて、物語を語って
お互い世話を焼くように

ほかのことは
どうでもいいかのように
――――
単行本p.93


――――
武則天は81歳で崩御
墓碑には彼女の
生前の功績が刻まれる
はずだったけど――

いまだ何も
記されていない

何世紀もの間、歴史学者は
秘密警察や政敵排除のこと
ばかりを強調し、中国版・ハートの
女王のように描いてきた

「枕営業までしてたってよ!」

けど、見方を変えれば
武則天の短くはかない王朝は
政争を除いておおむね平和であり
様々な分野(芸術、社会制度改革
など)で、実は中国史上
最も進んでいた時代とも言える

逆に、何かというと
(アリエナイこととして)
彼女が“オソロシイ”、
“ガンコ”な“野心家”
だったとされるの……

歴史上、
皇帝のほぼ全員に
共通する性格
(で、ほめ言葉)
なんだけどね……

「中国史上、
たったひとりの女帝に
それを認めるのは
難しいらしいわ」
――――
単行本p.143



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