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『モーアシビ 第35号』(白鳥信也:編集、川上亜紀・小川三郎・川口晴美・他) [読書(小説・詩)]

 詩、エッセイ、翻訳小説などを掲載する文芸同人誌、『モーアシビ』第35号をご紹介いたします。今号は、緊急で「川上亜紀さん追悼特集」が組まれました。


[モーアシビ 第35号 目次]
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『輪郭線』(北爪満喜)
『細胞はもっと生きたい、と先生は言った』(サトミ セキ)
『純潔』(小川三郎)
『風の道』(島野律子)
『肥大器官』(森岡美喜)
『二〇一七山岳作業記録』(浅井拓也)
『かゆい』(白鳥信也)
『椅子』(森ミキエ)

川上亜紀さん追悼特集
『光の林檎』(川口晴美)
『氷と蝶と』(北爪満喜)
『川上亜紀さんとほんとのことば』(水越聡美)
『亜紀さんへ』(森岡美喜)
『川上亜紀さんのこと』(森ミキエ)
『川上さんの「思い出」』(島野律子)
『風の吹く向き』(大橋弘)
『川上亜紀さんとモーアシビ』(白鳥信也)

散文
『部落総会』(平井金司)
『ふたつよいことさてないものよ』(清水耕次)
『風船乗りの汗汗歌日記 その34』(大橋弘)

翻訳
『幻想への挑戦 9』(ヴラジーミル・テンドリャコーフ/内山昭一:翻訳)
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 お問い合わせは、編集発行人である白鳥信也さんまで。

白鳥信也
black.bird@nifty.com


 以降、川上亜紀さん追悼特集から引用します。


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またこんど、は遠ざかる
だけど詩はなくならないから
わたしは詩集を開く
林檎を剥くように頁を開けば白い光はあの十二月よりも鮮やかに
亜紀さんの言葉を輝かせている
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『光の林檎』(川口晴美)より


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まなざしの奥へ木洩れ日の文字は落ち
私の氷は溶け出して
すこしずつすこしずつ冷気からほどかれ
深い闇のなかへ悲鳴を眠らせる
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『氷と蝶と』(北爪満喜)より


――――
「わたしには林檎遺伝子があるの。林檎が好き」
 と川上さんは言った。大粒の冬の新鮮な苺が、薄いクリーム色の林檎の横に並べられる。川上さんはその苺も美味しそうに食べた。あまりに美味しそうに食べるのにつられて、わたしたちも林檎を音を立てて食み、大粒苺の甘さを噛み締めた。あの束の間の幸福な時間を、「林檎遺伝子」という言葉と共に思い出す。
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『川上亜紀さんとほんとのことば』(水越聡美)より


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思い返せば、私と亜紀さんとの間には色々と共通点がありましたよね。
二人とも猫が好き。大好き。というかラブ。むしろ溺愛。お互いの飼い猫が同い年の老猫(なんと今年で十七歳!)でびっくりしましたよね。これもママ友になるのかな?
フィギュアスケートもお詳しかったですね、私はスケオタと言われても仕方ないレベルでしたが同じぐらいの熱量で語ってくださるのがびっくりでそれも嬉しかったです。
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『亜紀さんへ』(森岡美喜)より


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川上さんと初めて会ったのは川口晴美さんの詩の教室でした。自作の詩を読みあい、読まれた詩について意見や感想を初見でいうのですが、いつも思慮深く言葉を選んで、遠慮がちに発せられる意見は、外れたことはなかったように思います。何度か帰りの山手線でプライベートな話もしたりして、潔癖な心持と文章に対する真摯な姿勢に刺激を受けました。
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『川上亜紀さんのこと』(森ミキエ)より


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山手線で移動中、そろそろ詩集を出すんですかと尋ねると、今は小説の本が出したいと思ってと答えられ、川上さんはそのときどんな本を計画していたのだろう。それは別れ際の会話だったのか、具体的なことはなにも聞くことなく笑顔で挨拶をし、それ以上のことは知らないままです。
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『川上さんの「思い出」』(島野律子)より


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ずいぶん遠回りしてモーアシビで知り合って、彼女が大学の後輩と知った時には、それまでの人生で一度も吹かすことができなかった「先輩風」というものを、いよいよ吹かせられるかも、などと不遜にも思ったものだが、実際に彼女と話してみると風なんか起こせない。さまざまな面で自分に先輩的な成分が欠けているからだろうと思うけれど、穏やかで、落ち着いている川上さんに対していると、そんな風のやり取りをするような心持ちにならないのだった。
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『風の吹く向き』(大橋弘)より


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 二十七冊のモーアシビに掲載した川上さんの作品は、詩が二十編で、エッセイが五編、小説が二編。川上さんがモーアシビに書かれた詩作品の多くは詩集にまとめられているが、エッセイや小説などは未収録のままだ。(中略)
 川上さんとの二十年近い交流を思い返す。小さな声で話す川上さん、それでいて意志のある明確な意見を語る川上さん、ゆっくりと詩を朗読する川上さん、明大前のモーアシビの打ち上げに参加した川上さん笑顔、生まれて初めて僕らと一緒にカラオケボックスに行った川上さん、そのとき亡くなったお父さんに聞かせるのだとピンクレディーを歌った川上さん、楽しそうだった。色んな川上さんを思い出す。それから、川上さんの書き残した言葉たちも。
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『川上亜紀さんとモーアシビ』(白鳥信也)より



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