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『スロー・リバー』(川合大祐) [読書(小説・詩)]

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 すべての人に。この句集を捧げる。うな丼のタレが余ったら送ってね。
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「たとえばだ三十一文字の定型をこれは川柳ですと言い張る」
定型的な文章表現をいじくってみると、そこから生まれてくる変なもの。言葉の面白さを追求する素敵句集。単行本(あざみエージェント )出版は2016年8月です。


 まずは、川柳そのものを題材にした、いわばメタ川柳が面白い。


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たとえばだ三十一文字の定型をこれは川柳ですと言い張る
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我思う「これは川柳ではない」と
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道は暮れここで破調にする理由
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だからこの句のメタファーに気付いてよ
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川柳は何と無力だ河馬の前
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 文章の形式が何というか自己言及してしまうときの変な気恥ずかしさ。


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図書館が燃え崩れゆく「失われ
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こうやって宇宙をひとつ閉じてゆく」
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よく耐えた屋台だったが接続詞
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僕の比喩たとえば君は東大寺
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 文脈に合わない固有名詞を無造作に放り込む手口。


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バルタンに進駐されてまた夏か
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この列は島耕作の社葬だな
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攻めて来る一万人のゴレンジャー
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啄木がカラシニコフを掘り当てる
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 よく見かける定型的な表現もこんな感じに。


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「その熊は炉心くわえている模様」
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気をつけろ奴は単なる意味だった
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回顧録蠅の少ない夏だった
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永劫が7~11時だったころ
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確率で言えばあなたは死んでいる
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室内で呼吸ソビエト航空史
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千年も続く家系にオチがない
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