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『読書』(勅使川原三郎、佐東利穂子) [ダンス]

 2018年11月9日は、夫婦でKARAS APPARATUSに行って佐東利穂子さんのソロダンス公演を鑑賞しました。小説のテキストを使った70分の作品です。

 佐東利穂子さん自身が小説の一部を朗読した録音が延々と流れ、それを背景に踊ります。小説の内容を追うのではなく、読書体験そのものを動きで表現しているようです。

 ちなみに原作は未読なのですが、「現代ドイツ語文学の最高峰」とされたり、「二十世紀最大の妹萌え小説」と呼ばれたりする、オーストリアの作家ローベルト・ムージルの代表作『特性のない男』です。引用は日本語版の第4巻から。主人公ウルリッヒが妹アガーテとともに家にひきこもって、あれこれ難解で哲学的でそして性的暗喩に満ちた会話をひたすら繰り広げる部分です。

 舞台上には椅子とソファが置かれ、佐東利穂子さん演じるところの女性が居間で本を読んでいるというシーンから始まります。いつもは髪を結い上げている佐東利穂子さんが髪を下ろしているので、別人のよう。というか、動きと照明の具合で、シーンごとにまるで別人に見えます。

 ゆったりと宙をかきまぜるような動き、空間を鋭く切り裂くような動き。さらに繊細で解像度の高い動きがくり広げられ、これまでの公演では観たことがなかった、と感じられる印象的な動きの数々に驚かされます。

 朗読は一時間近く続くのですが、それが終わって静寂になってからの展開が凄い。感傷的ラストを演出する定番曲であるところのラフマニノフ「ヴォカリーズ」が流れて、観客が油断したところで、いよいよ怒濤のダンスが始まります。

 大音響で轟き渡る波音。かき消されそうになりながらも続くヴォカリーズ。アパラタス空間が音圧に震え、それをもしのぐ迫力で佐東利穂子さんのダンスが炸裂。視覚と聴覚の大洪水に、こちらの意識も吹っ飛びます。こう、すごかった。佐東利穂子さんのダンスといえば、内に秘められた情熱と狂気、という印象が強いのですが、それが外に向かって遠慮なく放出されるとどうなるか。はじめて体験したように思います。



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