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『ネザーランド・ダンス・シアター 来日公演』 [ダンス]

 2019年7月6日は、夫婦で神奈川県民ホールに行ってNDT ネザーランド・ダンス・シアターの13年ぶりの来日公演を鑑賞しました。厳選された4つの演目、2回の休憩を含む2時間30分の公演です。

 今シーズン限りで芸術監督を退くポール・ライトフットをはじめとして三名のダンサー(Alice Godfrey、Olivier Coeffard、Gregory Lau)の退団公演、その最終日ということで、花束贈呈などのイベントで大いに盛り上がりました。


[キャスト他](2019年7月6日)

Singulière Odyssée シンギュリア・オデッセイ
上演時間34分

 振付: Sol León ソル・レオン、Paul Lightfoot ポール・ライトフット
 音楽: Max Richter マックス・リヒター
 出演: 
Marne van Opstal、Roger Van der Poel、Meng-Ke Wu、Yukino Takaura、Gregory Lau、César Faria Fernandes、Chloé Albaret、Chuck Jones、Aram Hasler、Madoka Kariya


Woke up Blind ウォーク・アップ・ブラインド
上演時間15分

 振付: Marco Goecke マルコ・ゲッケ
 ドラマトゥルグ: Nadja Kadel ナジャ・カデル
 音楽: Jeff Buckley ジェフ・バックリィ
 出演:
Alice Godfrey、Meng-Ke Wu、Jon Bond、Olivier Coeffard、Gregory Lau、Sebastian Haynes、Luca Tessarini


The Statement ザ・ステイトメント
上演時間19分

 振付: Crystal Pite クリスタル・パイト
 音楽: Owen Belton オーエン・ベルトン
 脚本: Jonathon Young ジョナサン・ヤング
 出演:
Lydia Bustinduy、Meng-Ke Wu、César Faria Fernandes、Roger Van der Poel


Shoot the Moon シュート・ザ・ムーン
上演時間23分

 振付: Sol León ソル・レオン、Paul Lightfoot ポール・ライトフット
 音楽: Philip Glass フィリップ・グラス
 出演:
Madoka Kariya、Yukino Takaura、Marne van Opstal、Roger Van der Poel、Sebastian Haynes



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『THE GREAT TAMER』(ディミトリス・パパイオアヌー) [ダンス]

 2019年6月30日は、夫婦で彩の国さいたま芸術劇場に行ってディミトリス・パパイオアヌーの公演を鑑賞しました。10名の出演者による95分の舞台です。

 舞台上には、たくさんの板を重ねて置いて作った「奥が盛り上がっていて観客席に向かってなだらかに下ってゆく丘」のような斜面が作られています。ここがステージとなります。

 開演時刻になる前から、すでに一人の出演者が渋いスーツ姿で立っています。気取った仕草で服を調整したり、観客に向かって目線を投げたりして、段々と親しみが湧いてきます。この人が主役なんだろうか、とか思っていると、いきなり全裸になって股間を観客席に向けた姿勢で「丘」の斜面に寝ころがって、これはとても遺体。

 この「遺体」に白い布をかけて隠そうとする出演者と、その布を吹き飛ばして遺体をあらわにしようとする出演者の、機械的なまでのフリップフロップが執拗に繰り返され、横たわっている人が遺体どころかただのモノに感じられるようになってゆきます。さっきまで親しみを持っていたはずの人が。

 人や遺体から尊厳を剥ぎ取ってモノ扱いしたり、バラバラにしたり(巧みな演出で人体をばらばらにしたり、人体を継ぎ接ぎ再構成したりする)、しまいには解剖して皆で食べてしまったりといった悪趣味な演出を、いちいち西洋絵画の有名作品になぞらえて美しく見せてしまうところが強烈。よく考えたら、そもそも西洋絵画とくに宗教画って、たいてい悪趣味で暴力的で猟奇だよな。

 「丘」には、下から出入りできるようにあちこちに穴が用意されていて、遺体を掘り出したり、泉が湧いてきたり、ふと気がつくと出演者が下から這い出てきたり、とにかく次に何が起きるのか予想がつかず、緊張を強いられます。

 プロットは特にありませんが、ろくな扱いを受けられず人としての尊厳を奪われた遺体が地面の下でばらばらになっているという状況に対する怒りや悲しみは一貫しており、宗教的なモチーフが繰り返されます。

 個人的に最も印象的だったのは、いきなり宇宙飛行士が登場して「丘」が月面になるシーン。二人の出演者が向かい合ったままアクロバティックに身体を浮かせて脚をゆらゆら浮遊させる、といった低重力の動きと演出が素晴らしく、さらに月面を掘ると遺体が出てきて、そこから宇宙飛行士が脱衣して、ここぞというタイミングでピエタ、という流れには感服させられました。そのあとの展開もえぐい。



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『マネキン人形論』(勅使川原三郎) [ダンス]

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 父は物質という不思議なエレメントの賛仰を切りもなくつづけた。生命のない物質は存在しない――と父は教えた――生命がないのはただの見せかけであり、その向うには生命の未知の形が隠されている。それらの形は大小、無限の規模を持ち、陰影、ニュアンスも数限りない。造物主は重要な、また興味深い様々な創造の処方を持ち合わせていた。それによって彼は自ら更新する力を具える無数の種を創造した。
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『マネキン人形論あるいは創世記第二の書』(ブルーノ・シュルツ:著、工藤幸雄:翻訳)より


 2019年6月22日は、夫婦でKARAS APPARATUSに行って勅使川原三郎さんの公演を鑑賞しました。ブルーノ・シュルツの短篇を原作とする60分の作品です。

 前作『青い記録』と対照的な印象を受ける作品です。前作では青が主役でしたが、今作は赤。服装から照明まで刺激的な赤が多用されます。静謐なシーンの多かった『青』と比べてかなり激しく踊るシーンも多く、またガラスが暴力的に割られる音(実際にガラスを床に叩きつけて割るシーンが繰り返される)、足踏み式ミシンの作動音(ジャカジャカジャカ……)など、ライブ音も重要な効果として使われています。

 舞台はかなり怪しい印象で、マネキン人形三体(うち一体は出演者、おそらく鰐川枝里さん、が微動もせず演じており、生々しい雰囲気が漂います)、大きな姿見、そして古い足踏み式ミシンが配置され、古典バレエで例えるなら「部屋に引きこもって外出しない不健全なコッペリウス博士」の部屋みたいです。


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 娘たちは身動きもせずに坐っていた、ひとつきりのランプがくすぶっていた、ミシン針の下の布地はとうに滑り落ちているのに、機械だけは虚しくかたかたと鳴り、窓外の冬の夜の経が繰り出してくる黒々とした星のない布にちいさな孔を空けつづけた。
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『マネキン人形論あるいは創世記第二の書』(ブルーノ・シュルツ:著、工藤幸雄:翻訳)より


 マネキン人形たちが生きているように見えてきたり、逆に勅使川原三郎さんが人形のように見えてきたり、ミシンの縫い針が手に刺さりそうではらはらする場面、床に叩きつけて割ったガラスの破片の上を歩く場面など、赤の色調とあいまって不穏な気配が漂います。ダンスのシーンは多く、どれも強烈で、なんだかずっと踊っていたような印象が残ります。



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『青い記録』(勅使川原三郎) [ダンス]

 2019年5月31日は、夫婦でKARAS APPARATUSに行って勅使川原三郎さんの公演を鑑賞しました。無限ループするピアノ曲を背景に踊る上演時間60分のソロ作品です。

 最初は真っ暗闇に浮かぶ青白いほのかな光だけが目に入り、そこにシューベルトのピアノソナタ20番、その第2楽章の一部が流れます。優雅なようでいてどことなく不安で不穏な気配がにじむ曲。終わったと思うとまた始まり、終わったと思うとまた始まり、いつまで続くのかこのループと思っていると、これが延々と終わらない。実に1時間に渡ってずっとずっとループし続けるという猛威。

 やがて暗闇に目が慣れてくると、天井から何本もの糸が吊り下げられていることに気づきます。多くの糸は床までたれていますが、ちょうど勅使川原さんの顔の高さに小さな木片がくくりつけられており、それが空間を格子のように区切っています。透明な牢獄のような印象を受けます。

 この見えない牢獄のなかで勅使川原さんが踊ります。格子に触れないよう、可動域が制限された動き。発散できないまま何かが溜まってゆくような苦しい苦しいダンス。照明効果により闇を背景に勅使川原さんの身体の一部だけが浮き上がって見えたり、延々とループするシューベルトのせいで現実感や遠近感が失われ、勅使川原さんが大きく見えたり小さく見えたりしてきます。



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『プレリュード』(Co.山田うん) [ダンス]

 2019年5月26日は、夫婦で世田谷パブリックシアターに行ってCo.山田うん新作公演を鑑賞しました。様々なプレリュード(前奏曲)に乗せて14名の出演者が踊る60分の舞台です。


[キャスト他]

振付・演出: 山田うん
出演: 飯森沙百合、川合ロン、河内優太郎、木原浩太、黒田勇、田中朝子、西山友貴、仁田晶凱、長谷川暢、望月寛斗、山口将太朗、山崎眞結、山根海音、吉﨑裕哉


 ワーグナーで始まりワーグナーで終わる60分。きらめくラフマニノフ、涅槃極楽浄土の土美牛(ドビュッシー)。これまで観たことのあるCo.山田うん作品で、文句無しに一番好き。

 最初と最後、わくわくどきどきが止まらない群舞の素晴らしさ。ときめくユニゾン、しびれるウェーブ。舞台袖高速出入りを繰り返しながら音譜を視覚化してゆく出演者たち。緻密に構築されたフォーメーション。全力疾走舞台大旋回、斜め跳躍反転四つんばい着地。すべてがハイスピードハイテンションノンストップ高揚感。脳内多幸物質だぼだぼでまくる山田うん作品の魅力がぎっしり詰まっていて、何度でも繰り返しいつまでも観ていたい。

 現代音楽を中心とした不安な中間パートのどきどきはらはらを経て、ついにやってくる牧神の午後タイム。それまで照明効果だけだった空間に、舞台装置が次々と現れます。バス停標識柱(土美牛=ドビュッシーと書いてある)、天井まで届こうかという巨大牧神像。大きなトラのぬいぐるみ。多数の雲。ふわふわ。ふわふわ。

 ワイヤで雲が釣り上げられ、天井からは藤の花が降りてくる。やがて花びらがちらちらと降ってきて、気がつけばそこは極楽浄土というか涅槃の域に。官能的な音楽に乗せて全出演者による官能的なダンスが繰り広げられるのですが、どっちかというとスローな春の祭典という感じ。今後、伝説的に語られることになるであろう名シーンでした。終演後も暗闇で静かに輝く花びら。



タグ:山田うん
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